未だにグレーな旦那の浮気疑惑
産後クライシスをこじらせ、旦那への愛など枯れ果てていた2年前、当時4歳だった長女いち姫がある日突然言いました。
「パパはママの事が嫌いやで。他の人の事が好きなんやで。他の女の人の事がな。」
いち姫の予言は当たります。
甥のこめ助の突然の入院も、4年前のトランプ大統領の当選も、私の流産も妊娠も、お腹の子の性別も、テレビに映る芸能人が過去にいじめに遭っていた事も、他にもたくさん色んな事を言い当てました。
そして2週間前には、バイデン大統領の誕生を予言しています。
そんな我が子のチカラを100%信じている私は当時ももちろん信じました。
なんやって!?と。
人が家事に育児に仕事に幼稚園の役員に奔走してる時に呑気に何やってくれてんねん!?と。
産後クライシスのおかげで旦那を役立たずとみなしていた当時の狂った私は、夫婦というものは子どもができたらお互い子どもを守り抜くパートナーになるものなんだ、そこに相手への愛や思いやりなど邪魔なんだ、と本気で考えていました。
旦那が仕事から帰って来ても嬉しくない。
食事の用意をしないといけないから面倒なだけ。
あー、別居したいなー。
旦那元気で留守がいいって上手いこと言うよなー。ほんまにそう思うわー。
なんて、ばち当たりな事を考えながら毎日過ごしていました。
子どもの前だけはかろうじて仲良く振る舞ってはいましたが。
酷い女です。最悪ですね。
そう思い至るまでには産前産後の旦那のとんでもない言動が原因としてある事はあるんですが旦那はきちんと謝罪して解決していました。
それでも引きずるしつこい女。
産後何年経ってるねん。
まさに産後の恨みは一生状態でした。
帰って来ても針の筵な旦那が他所に癒しを求めるのは至極当然。
だけど相手は一体誰だ?
それから、普段全く気にかけなかった旦那の言動に少しずつ目がいくようになりました。
そういえば最近ある女性の名前をよく口にしてるよな。確か…会社の後輩の…大和さん。
「大和さんがさー、面白いアプリ教えてくれてさー。」
「今日は大和さんが休みで静かでさー。」
「大和さんがなー、『ドラ父さんは整理整頓できないから私がしますよー。もうドラ父さんは私がいないとダメなんですからー。』って言ってて恥ずかしかったわー。」
大和で決まりやな。
相手を特定できた頃、頻繁に同じ悪夢を見るようになりました。
毎回、家族を捨てて大和さんと再婚すると言って聞かない旦那に泣いてすがって謝り倒す夢です。
そして毎回、目覚めると涙を流していました。
あれ、おかしいな。なんで泣いてるのかな私。
意外にも悪夢に打ち拉がれる自分に驚きながら私の目は、耳は、頭は、日毎に旦那を追うようになりました。
そこで初めて知りました。
毎日嬉しそうに大和さんの話しをする無口なはずの旦那の目に、私がうつっていないのを。
無造作にリビングに置いていたスマホをトイレにまで持って行ってるのを。
そのスマホもいつの頃からかサイレントモードになっていたのを。
大和さんのLINEが非表示になっているのを。
大和さんの電話番号が男性の名前で登録されているのを。
そして、大和さんの話しをパッタリしなくなったのを。
まっクロやんか!!
私は一度、大和さんに会った事があります。
私より10歳年下でスタイル抜群の美女です。
若く細く美しい彼女に私なんか太刀打ちできない。真逆だから。
私が太ってもスッピンでも気付かなかった旦那が汚物を見る様な目を向けながら言うようになりました。
「もっと痩せて白髪も染めてちょっとはオシャレしたらどうなん?」
きっと大和さんと比べているのでしょう。
それまで妻として女として胡座をかいていた私は悔しくて悲しくて堪らなくなりました。
そして焦りました。
このままじゃあの悪夢が正夢になってしまうと。
疑いだしたらどんどんどんどん嫌な考えが頭を巡って眠れません。
いても経ってもいられなくなったバカは真正面から旦那を問い詰めました。ひとつも証拠を握ってないのでハッタリかまして。
「大和さんと浮気してるやろ!?」
「はぁ!?何の話!?」
「証拠は全部握ってる。LINEのやり取り全部見たから。大和さんだけ非表示にしてるやろ。」
「浮気なんかしてないわ!」
「じゃあ何したんやな。」
「何ってなんもしてないわ!するわけないやろ!」
「じゃあなんで大和さんだけ非表示にしてるん!?」
「非表示にしてるんは大和さんだけじゃない。会社の人は全員してる。いち姫が携帯で遊ぶから間違えてLINEしんように。」
「…じ、じゃあ、なんで電話番号を男の名前で登録してるん!?」
「な、なんでそれを知ってるん?」
「全部見たからや!いい加減白状したらどうなん!?いち姫だって証言してるんやから!今全部話してくれたら怒らへんから!」
「いや、もう怒ってるやん。しかも子どもの言う事鵜呑みにしんといて。」
「鵜呑みにして当たり前やろ!!早く言って。私と別れて大和さんと再婚するつもりなん!?」
「何の話やねん。」
「どうなん!?」
「再婚なんかしいひんわ。何もないのに。…でもこんなんじゃ、離婚はした方がいいかもな!」
「!!!!!」
「俺らずっとギクシャクしてたやん。もう俺に愛情なんかないんやろ?なんで毎日毎日俺にキツく当たるん?俺何かした?ママはすごくよく頑張ってくれてるのわかってるし感謝もしてるけど、俺だって仕事頑張ってんねんで。毎日帰るのが嫌やった。俺何の為に生きてるんやろって。」
堰を切ったように話す旦那は涙目でした。
その目を見て心が打ち震えました。
かつて深く愛した人が目の前でボロボロになっている。私のせいで。
あんなに大切な人だったのに。
あぁ、こんなにまで追い込んでしまってたのか。
私はなんて事をしたんだろう。
泣く人じゃないのに。
弱音なんて吐く人じゃないのに。
こんなに大切な人なのに。
遠い記憶の彼方へ追いやっていた旦那への愛情が胸いっぱいに広がって行きました。
「ごめんね、ごめんね。私のせいで苦しめてごめんね。」
結局私が泣いてすがって離婚を回避しました。
それから少々時間はかかりましたがお互いを思いやり愛情を感じるようになりました。
お互いに言いたい事をきちんと口に出して相手に伝えられるようになり家庭は円満になりました。
浮気疑惑は何も解決していませんでしたがある日ボロボロになった旦那のベルトを見て思いました。
若く美しい大和撫子と浮気してる男がこんなボロボロのベルトを会社に毎日していくか?
ボロボロなのはベルトだけじゃありません。
パンツも靴下も向こうが見えそうなくらい擦り切れていてカッターシャツの襟袖は黒ずんでいました。
こんな格好で会社に行かせてしまっていたとは…。
こりゃあ、シロやな。
と自分の中でストンとふに落ちた上に大和撫子さんは会社を寿退社したので晴れて心配事はなくなりました。
そして今日、またいち姫が突然言い出しました。
いち姫「ママ、パパな、ママの事、大っ嫌いやで。他の人が好きやねんで。」
な、なんやとー!?
いち姫「ママのこと1000万番目に好きらしい。いちばん好きなのは違う人。子どもよりその人が好きやねんで。」
な、なにぃー!?
私「ちょっとパパ!!まさかあの大和撫子とやっぱり何かあったん!?それでまだ続いてるん!?」
旦那「何の話やねん!!子どもの言う事鵜呑みにし過ぎやろ!」
いち姫「うるさい!!ママをバカにしやがって!!」
私「え、ママをバカに…?まさか大和撫子と2人で私を笑い者に!?」
旦那「何でやねん!!頭おかしいんか 笑笑!」
私「酷い。信じてたのに。」
いち姫「ママ、パパはな、ずっとママの事好きなフリしてたんやで。ほんまはずっと嫌いやってんで。」
私「酷い!!」
旦那「違う違う!そんなワケないやろ 笑笑!!」
いち姫「ママ、パパはな、ストレスが溜まってありのままに生きようと思ってありのままの事してはんねん。」
私「ありのまま??まさか、まさか!?本能剥き出しとかそういう事してんの!?」
旦那「アホか 笑笑!!」
いち姫「なんでストレスが溜まったかと言うとな、ママが私と二太郎ばっかり大事にしてるからやねん。」
私「なんやって!?パパの事も大事にしてるやん!!今は小さい子ども達に手かかるの当たり前やんか!!」
旦那「そんなんわかってるわ!頼むから信じて 笑笑!
いち姫ちゃん、なんでそんなに急にパパを陥れるん?」
いち姫「うるさい!ママをバカにするな!!この鬼め!!ギタンギタンのケチョンケチョンにしてやるぞ!!」
二太郎「キャー!!!」
私「やっぱり私をバカにしてるんや…」
旦那「するワケないやろ!!もう笑わせんといて!」
いち姫「ママ!!一緒にパパをギタンギタンのケチョンケチョンにしよう!!」
私「わかった!!一緒にパパをやっつけよう!!」
旦那「やめてー!!!」
二太郎「キャー!!!」
再び現れた旦那の浮気疑惑。
いち姫が予言した時点でシロからグレーにグレードアップです。
予言者が寝る前に家族でひと暴れしたかっただけなのか、本当に旦那が浮気心を持ち続けているのか、どちらが正しいかは神のみぞ知るところ。
だけど今ならもう大丈夫。
泣いてすがったりなんかしませんよ。
こんなに毎日楽しく幸せに暮らしてるんだから。
その上で、可愛い子ども達と優しい奥様を裏切るような事をしたら、
バイバイ
するだけですからね。
だけどもしかしたらちょっとは寂しいのかもしれないな。
子ども達が早く寝たら一緒に映画でも見ようかな。
産後クライシスから救ってくれたのはいち姫のあの言葉ですからね。
あのまま何もなければ今頃家族はバラバラだったかもしれない。
今回も何かの警告かもしれないし、これまで以上にパパを大切にしよう。そう、チラッと思った夜なのでした。
あっ!!
大和の携帯番号を男の名前で登録してた理由聞いてないやん!!
アイツめ!!
まっクロやな。
今日もくだらない話を聞いて頂きありがとうございました。
それでは、また♪