パパの目標が達成できない気がする話
長女いち姫の通う幼稚園には、年長組だけに用意される頑張りカードなるものがあります。
与えられた課題を頑張ってクリアし、小学校入学前に大きな自信を付けておこうという我が幼稚園の伝統です。
素晴らしい伝統!!
毎日伸び伸び遊んで歌って先生達に大切に大切にされている子ども達。
だけど小学校に行けば途端に厳しくなりますからね。
長い授業はしっかり聞かなきゃならないし、テストもあるし、給食も時間内に食べ終わらないといけない。
幼稚園とは違い、緊張感漂う毎日。
そんな小学校生活に入る前に、年長組には特に頑張り抜く事の大切さを教えてくださる先生達からの深い愛情を感じます。
卒園したらもう先生達は側にいられないんだよ、ママやパパに学校での様子を細かく伝えてくれる人はいないんだよ、自分の事は自分でしなくちゃいけないし、自分の気持ちは自分で伝えて行かなきゃダメなんだよ。
だから背筋伸ばしてカッコ良く自信持って小学校に行けるように、今のうちにたくさん頑張っておこうね。
先生達が側にいられる今のうちに。
きっと、先生達のこんな想いから作られた伝統なんだろうな…と勝手に想像&感動し涙ぐむ私です。
グスン。ズビズビ。お涙チョロリ。
さぁ!気を取り直して。
内容は①鉄棒前周り、②跳び箱3段、③自分の名前を平仮名できちんと書く、④時計を読めるようになる、⑤うんていをやり切る…などなど全部で10個。
全てクリアできれば表彰してもらえます。
親としては是非とも頑張って表彰してもらい、自信満々で入学して頂きたい!
怖がりで心配性で運動苦手で引っ込み思案な、不安要素満載のいち姫に自信を付けさせるにはピッタリな企画です。
頑張りカードをクリアできればきっと自信がつくはずですからね。
運動会が終わってから始まった頑張りカード。
そろそろ1ヶ月経ったけど、進み具合はどうなのかな?
3つくらいはできてるかな?
ウキウキして聞いてみました。
私「ねぇ、いち姫ちゃん。頑張りカード、頑張ってる?」
いち姫「ううん。」
ううん??
私「10個のうち何個できたん?」
いち姫「ゼロ」
ゼロ!?え、ゼロ!?
私「何でなん?簡単なのもできてないの?ほら、名前書くのと、鉄棒前周りはできるやん?」
いち姫「別にしたくない。鉄棒は幼稚園では怖くてできひんし。」
私「なんでよ!名前くらい書いたらいいやんか!鉄棒怖いならママと練習しようよ!」
いち姫「いやや。怖いし、頑張りカード、皆んなそんなに頑張ってないから。」
私「みんなゼロなん?」
いち姫「違う。私だけ。ゼロは。」
なんやとー!?
私「とにかく、ゼロを1にして!頑張らないと賞状もらえへんよ?」
いち姫「賞状いらんもん。ただの紙切れやし。」
な、な、な、なんやとぉー!?
頑張りカードを頑張りもせずに諦めてる上にただの紙切れやとぉー!?
それが幼稚園児の言葉かー!?
私「カッコ悪!!いち姫カッコ悪いな。頑張りもせずに諦めるなんて。いっぱい頑張ったら色んな事できるようになって、もっと好きな事とか楽しい事増えるのに。」
私と同じAB型のせいなのか、いち姫には妙に冷めたところがあります。
興味の無い分野には決して手を付けずどんどん苦手が増えていく。
出来ないんじゃなくしないだけなんだよ、本気出せば出来るから。とクールぶるところが私にそっくり。
何かを成し遂げるためにたくさん失敗するって事がカッコ悪い、恥ずかしいと思ってた、かつての私。
それは間違いだったんだと大人になって分かりました。
何かを成し遂げる為に諦めずたくさん努力するってなんて素敵な事なんだと。
こんなにも自分を成長させてくれるものなのかと。
きっと、いち姫も昔の私と同じくカッコ悪いし恥ずかしいからハナから頑張りカードに手を付けないんです。
最初は誰でも出来ないのに、出来ない自分を見られるのが耐えられないんです。
失敗はクールじゃないと思ってるから。
だけどそれじゃダメなのよ。
頑張るって、失敗するって、成長過程にはすっごく大切なのよ。
頑張る事が本当のクールなのよ。
じゃないとママみたいな何の取り柄も無い出来損ないになってしまうのよ。
だからいっぱい失敗して頑張れ!!
できない悔しさから這い上がる喜びを味わって!
目標を成し遂げた後の達成感を全身で感じ取って大きな自信を手に入れて!
ママみたいにスカスカ人間になるんじゃない!!
そんな事をもんもんと考えていたら鬼の形相になっていた様で、いち姫が怯えていました。
私「どうしたん?ママ怒ってないよ?だから怖がらずに聞いて。出来ひん事はママも一緒にいっぱい練習するから、明日から一緒に頑張ろう?」
いち姫「嘘つくな!!怒ってたくせに!すごい顔やったわ!ブタみたいやったわー!」
顔を真っ赤にして泣き喚くいち姫。
ブタみたいって、それ、怒った顔とかじゃなく体型の事やんか。
ほんまにもう。
まぁ、頑張りカードへの不安から泣く理由が欲しかったのでしょう。
こういう時は気が済むまで泣かせておくに限ります。うちの場合は。
泣くのに飽きたいち姫が、何かひらめいた顔して言い出しました。
いち姫「大人用の頑張りカード作ってあげようか?」
はいはい。
私が頑張りカード頑張るんやからパパとママも苦手な事を頑張りや。道連れやで。だから頑張りカード作ったるわな。
というワケですよね。
受けて立ちますとも。
もちろんお願いしますとも。
私「いち姫、いいアイデアやんか!!頑張りカード作ってくれたら一緒に頑張れるもんね!」
やっとやる気を出した娘をヨイショヨイショと必死におだてます。
今を逃せば次はない!!
いち姫「ママ、苦手な事って何?」
運転と料理。
うっかり口が滑りそうになったのを止めた自分ナイス。
そんなガチ目標頑張れるワケないやん。
運転なんて免許とってからずっとペーパードライバーやから、もう1回教習所行かなあかんレベルやし(ヤバいって)、料理なんて後追いベビーがいるうちは練習できひんし(生まれる前に練習しとけ)。
なのでサラッと言いました。
私「早起きと自分の髪の編み込み。」
ウソじゃない。
ただ、努力すれば何とかできるレベルの苦手分野を言いました。
これなら頑張り甲斐があるし、いち姫もママの努力が目に見えてより頑張る事でしょう。
親になって6年。
学んだ事は子どもとの約束には慎重を期す事。
こんなの当たり前です。初歩的ですよ。
いち姫「ふーん、そっかぁ。じゃあ、パパにも聞いてくる。」
お風呂に入ってるパパに聞きに行ったいち姫。
戻って来て早速頑張りカードを作ってくれました。
リビングの壁に貼られたカードには、パパとママがクリアしなければならない課題が書いてありました。
ママはもちろん、早起きと編み込み。そこに"嫌いな野菜を食べる"というのも加えられていますがそんなの楽勝です。嫌いな野菜なんてありませんからね。
さぁ、明日から早起きと編み込みの練習頑張るぞー!
そうだ、パパの課題は何かな、どれどれ?
①きらいなやさいをたべる。
あぁ、パパにも同じ課題あげたのね。パパも好き嫌い無いから楽勝よね。
じゃあ次は…
②バクてんできるようになる。
えっ!?
これまで一回もバク転した事の無い運動不足の40過ぎのオッサンが!?
こんなの本当に練習するのか?どうやって?
ま、まぁ…いいか。ほっとこ。
次は…っと…
③えいごをはなせるようになる。
えっ!?
英語を話せるようになるって、い、今から…?
ハウアーユーって何?とか言ってる40過ぎのオッサンが…?
…
…
ミスったな。
もっと楽な目標にしたらいいのに、何ガチ目標うっかり喋ってるねん…って、いやいや、違う違う。
頑張るって言うんやから応援しとこ。
無理難題ばっかりだけど頑張ってください。
アフラックのケガの特約入っとこうか?
スピードラーニング買っとく?
また、考えといて…。
寝る前のほっこりした時間に仲良くじゃれあういち姫、二太郎、そしてパパ。
近い将来、この父と娘に一波乱起こりそうな予感がしますが、今のところはとても平和な我が家です。
これが嵐の前の静けさというものなのかもしれませんね。
とにかく頑張りカードを家族総出でクリアしてみせます。
パパがいちばん頑張らないといけなくなりましたが、愛する娘の為にきっと頑張る事でしょう。
パパ、ファイト!!
今日もくだらない話にお付き合い頂きありがとうございました。
それでは、また♪
おやすみなさい。