うちのくだらない話

ポジティブに生きたい母の心の叫びを綴るブログ

勘違い男にフラれた話

どうも。ドラ母です。

 

先日家族+姑で行った植物園で、初めての場所なのになんか見覚えあるな、デジャヴかな、来たことあったっけ?と不思議に思っていたら。

 

そこを出る頃にようやく思い出しました。

 

あー、20年近く前に来たな、元カレと。

 

元カレのうちの1人と。

 

なんだかたくさん彼氏がいたみたいな言い草ですけど、元カレと呼べる人は3人しかいません。

 

しかもその元カレとはたったの3週間の付き合いで会ったのは3回だけ。

 

ほぼ他人ですが、「今まで何人と付き合ったん?」ていうモテ探り会話の為に必要な頭数として、私の人生の隅っこに居座り続けている人です。

 

 

うわぁ。あの人と来て全然楽しくなかった所やんか!!こんなに素敵なとこやったんやー!!

 

同じ場所でも一緒にいるメンバーが違うと全く違う場所に見えるものですね。

 

愛する家族が一緒だと、花が咲いてない桜並木でもこんなに美しく輝いてる!

 

あの人と来たのは桜満開の春だったはずだけど…

 

桜が散る頃には散り散りに散った短い付き合いやったな。

 

はぁ、懐かし…くはないな。

 

ぜーんぜん。

 

てな訳で今日は、ふと思い出した、たった3週間の恋物語(?)を聞いてください。

 

 

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

 

 

あれは、私がまだ21歳、体重48kg、縮毛矯正によるサラサラストレートヘアだった頃。

 

今となっては家族の間でネタとなっているその元カレとは、妹の紹介で出会いました。

 

「あー彼女ほしーなー。誰か紹介してよー。誰かいない?」

 

バイトの先輩のしつこい頼みで、仕方なく万年フリーの姉を紹介する事にした妹。

 

「お姉ちゃんを紹介しといたからさ、2人で連絡取りあって気が合えば付き合って。でも、ちょっと変わった人やから。」

 

紹介というのは名ばかりの、連絡先の受け渡しのみという投げやり仲介者の最後の言葉が少々引っかかりましたが、まぁ、私も変わってるって言われるから、とあまり気にしませんでした。

 

たいして盛り上がらない電話やメールのやり取りのあと、とりあえず一度会って見ましょうと2人で映画を見に行く事になりまして。

 

まぁ、デートですね。

 

全く意気投合しないけど会えばなんとかなるかも。お互いそう思っていたはずです。

 

「もしかして、ドラ子ちゃん?」

 

待ち合わせ場所にひょっこり現れた彼は、私の顔を覗きこんでニコニコ笑っていました。

 

「そうです。○○さんですか?」

 

「うん。よろしく!やー、良かった良かった!ドラ子ちゃん、思ってたのと違うー!!」

 

どういう意味や。

 

「なんかさー、喋ってる感じ声とか低いしテンションイマイチやし、もっと暗くて地味でもっとブサイク想像してたからさー。」

 

すごいな。

 

ここまで正直に胸の内を言葉にして相手に伝える人って珍しいですよね。

 

もっとにめちゃくちゃ引っかかるわ。どういう意味やねん。

 

そんな調子やからテンション合わへんし声も低くなんねん。

 

「そうですか。そりゃ良かったですね。」

 

あーミスったなー。会わんかったら良かったわー。

 

周りが言うには、顔は結構イケてるらしい、まぁモテる方かな。と電話で自己紹介してた彼の言葉に釣られて待ち合わせ場所に来た事を激しく後悔しました。

 

その顔がイケてるって誰が言うてくれたんや。アンタのおばあちゃんか。

 

「ドラ子ちゃん、思ってたのよりいい感じやで。もっと自信持ちや?うん。気に入った!俺たち付き合おう。」

 

え、何?自信?付き合う?

 

「そうと決まれば敬語は無しで仲良くしよ!俺の彼女なんやから。」

 

瞬く間に色んな事を決定していく3つ年上の彼は、妹が言う通りちょっと変わった人でした。

 

「さ、映画行こうか。」

 

「…うん。」

 

ヤバい、ヤバいこの人。映画終わったらすぐに帰ってお別れメールやな。

 

などと色々段取りを考えていると、

 

「あ、ドラ子ちゃん。映画の前に、話したい事あんねん。」

 

上映前の暗く静まり返った映画館で何やら話し始める彼。

 

「俺、忘れられへん女(ひと)がいるって言ってたやろ?」

 

「え?あ、あー。うん。」

 

そういえば何か言ってたかなー。

めちゃくちゃ綺麗な元カノの話。

聞き流してたしあんまり覚えてないけど。

 

「俺さ、今日、ドラ子ちゃんと付き合う事になったら、元カノの事は忘れてしっかりドラ子ちゃんと向き合って行きたいと思ってここに来てん。だから…」

 

何やらゴソゴソと財布から取り出す彼。

 

「これ…破って。」

 

 

差し出されたのは、美しい女性が微笑んでいる…

 

 

証明写真でした。

 

 

「えっ!?」

 

な、なに!?

 

「びっくりさせてごめんな。この人が元カノやねん。忘れられへんくて、別れてからずっと捨てられへんかった写真やねん。けど今日を境にきっぱり忘れる!ドラ子の為に!だから、破って!」

 

 

すごい。

 

すごい覚悟で来たんやな。この人。

 

真面目で一途な人なのかもな。(違う違う)

 

ちょっと、いいかも。(なんでやねん)

 

「ううん。私には無理やわ。大切な写真破くとか。何にも気にしーひんから、持っといて…」

 

「いいの!?ありがとう!!じゃあ、持ってる!いつかドラ子の事好きになったら捨てるから!」

 

人がまだ話してる途中にも関わらず大喜びで写真を財布に入れ直す彼。

 

なんかこの人、面白いかも。

付き合ってみよっかな。(目を覚ませー!)

 

恋愛経験がほぼ無かった私は、もしかして真面目かもしれないこの人と付き合ってみる事にしました。

 

普通の人ならこんな扱いされて付き合わないと思います。なんで付き合う事にしたのか自分でもハッキリわかりません。

 

ただ、当時の私は本物のアホでした。

 

「あ!そうや。まずは、手繋ごう。」

 

あぁ、そうやな。付き合うなら手繋いでもいいな。

 

でもなー。

 

私は手足にべっとり汗をかく多汗症なので手を繋ぐのは大の苦手でした。

 

だけどもしかしてこの人は、そんな私でも受け入れてくれるかもしれない。

 

だって相当な覚悟して来てくれたんやから。

 

よし。素直に手汗を知らせよう。

 

「私ね、手汗がすごいから手繋いだら気持ち悪いと思うよ?」

 

「大丈夫。それくらい。さあ、手かして。」

 

すごい。やっぱり受け入れてくれた!

 

「じゃあ…」

 

照れながら差し出した手を、彼はガッツリ握ってくれました。

 

そして、

 

「あ、思ったよりベトベトやな…。手は…繋がんとこうか。」

 

そう言ってそっと私の手を返してくれました。

 

 

 

 

なんでやねん。

 

なんやアンタ。

 

アンタの覚悟はそんなもんか。

 

この日、色々衝撃すぎてなんの映画を観たのか1ミリも思い出せません。

 

次に会ったのは1週間後。私の誕生日の日でした。

 

素敵なプレゼントがあると言う彼の言葉に朝からウキウキしていた私。

 

まさか、いきなりダイヤとかかな。

 

ナルシストやからなんかすごいのくれそう♪

 

なんて。溢れる期待を込めて待ち合わせ場所に

行きました。

 

笑顔で私の元へ駆け寄って来た彼は早々に小さな小箱をプレゼントしてくれました。

 

この小ささ!絶対アクセサリーやん!

 

「うわー!いいのー!?ありがとうー!!」

 

全然好きじゃなくても彼氏からプレゼントされたアクセサリーってのに憧れていた私は嬉しくってすぐに箱を開けました。

 

パカッ

 

…え?

 

 

 

 

中にあったのはでした。

 

「そんなに喜んでくれて嬉しいよ、ドラ子。それ、俺の家の合鍵。色々考えたけどそれがいちばんと思って。元カノから返された合鍵。

 

 

 

 

いらんわ!!そんな返品されたやつ!!

 

だいたい喜んでないし。

 

喜んだのは箱を開ける前やし。ただのぬか喜びやし。  

 

しかもアンタの家どこやねん。

 

「あ、ありがとう。」

 

非常に残念でしたが、なんとかお礼を絞り出しました。

 

まあ、付き合ってすぐにアクセサリーなんか貰えるわけないよな。

まだ元カノに未練タラタラなんやから。

 

「でもな、プレゼントはこれだけじゃないねん。」

 

えっ!?

 

残念がる私の様子に気づいたのか、彼が得意気に言いました。

 

「一緒に行こう。行きたい店があるねん。」

 

もしかしてもしかして!

 

アクセサリーかもー!

 

ルンルンでついて行ったその店は雑貨屋でした。

 

「これこれ。ドラ子に似合うと思って。」

 

 

 

 

彼が選んでくれたそれは、バスローブでした。

 

 

なんやねん、ほんまに。バスローブが似合うってなんやねん。下心丸出しか。人を何やと思ってんねん。

 

「いらん。そんなん欲しくない。」

 

かなり気分を害した私。ムカつくのでさっさと帰ろうとしたら、

 

「どうしたん?もしかしてこれが良かった?」

 

 

 

焦った彼が次に差し出したのは、バスチェアでした。

 

 

 

いらんわ!!

 

 

だからなんでやねん!

なんで風呂用品ばっかりやねん!

 

ムカつく!!帰ろう!

 

 

まず、いくら彼氏やからって、たいして知りもしない男の家に行きたくもないし、好きじゃないから合鍵いらんし風呂用品なんて気持ち悪いねん!!アクセサリーを期待したからバチが当たったんかもしれんけど期待するくらいいいやんか!腹立つ!

アホちゃうかほんまに!!

 

とぶちまけたいのを必死に堪えていると、

 

「どうしたん?ドラ子。何か怒ってる?あぁお腹空いたんか?何食べたい?ドラ子の好きな物食べに行こう。」

 

優しく彼が言いました。

 

あぁ、そうか。確かにランチ時やな。お腹すいてるからこんなにイライラするんかも。

食べたら気分良くなるかもな。

 

美味しい食べ物にめっぽう弱い私。

簡単に機嫌が直りました。

 

「洋食ランチが食べたい」

 

「よし!じゃあ食べに行こう!!」

 

次に彼が連れて行ってくれたのはオシャレなカフェでした。

 

「なんでも好きなの頼みや。値段気にしなくていいから。誕生日なんやからさ!」

 

「ほんまに?ありがとう!」

 

なかなか美味しいランチを食べ終える頃にはすっかり気分も元通り。

 

すると彼が席を立ち言いました。

 

「じゃあ、ちょっとお会計してくるわ。」

 

先に会計を済ませてくれるなんて紳士。

 

素敵やんか。

 

やっと大切に扱われ幸せいっぱいで少し遅れて彼に着いていくと、レジの所で彼が待っていました。

 

早く来いよ、と言わんばかりに。

 

うん?どうしたんかな?

 

「ドラ子の分、¥1,980やって。」

 

 

えっ!?

 

彼は自分のランチ代だけ端数までピッタリ置いていました。

 

そのカフェは割り勘お断りの店だったので私を待っていたようです。

 

 

 

 

なんでやねん!!

流れ的に奢ってくれるんかと思ってたわ!!

 

 

まぁいいわ。勝手に期待しただけやからな。

 

一気に気分が奈落の底へ落ちたのでその日はすぐに帰りました。

 

そして次に会ったのが植物園デートです。

彼に会ったのはその日が最後でした。

 

満開の桜を見に行ったのですが記憶にありません。

 

びっくりするほど詰まらなかったからです。

 

お互いに。

 

あぁ別れたい別れたい別れたい!!

でもなんて切り出そうか。

なんて考えてばかりいました。

 

ほぼ無言の植物園デートを終えた1週間後、彼から電話がかかって来ました。

 

「別れよう。」と。

 

「この1週間、ドラ子と会わなくても連絡取らなくても全然寂しくなかった。それどころか…まだ元カノを忘れられへんくて。でもドラ子が悲しむから、言えへんくて。」

 

私は答えました。

 

「まさか!!嬉しい!すっごく嬉しい!!私も別れたかったから!!全然悲しくないよ!!別れてくれてありがとう!気分スッキリやわ!!」

 

失礼やろってくらいにテンション上げながら。

 

「ほんまに?無理してない?傷付けてごめんな。」

 

どこまでもおめでたい勘違い男。

 

傷付くわけがないやろ。

 

「あの、それで、頼みがあるんやけど。合鍵は悪用せんといてな?

 

 

 

おい!ふざけんな!誰が忍び込むんや!

 

 

 

「いやいや、疑われたら嫌やから返すわ。」

 

「ううん。捨てといて。」

 

よほど私に会いたくないようです。

 

「じゃあ、妹に渡しとくから受け取って。」

 

「あ、その手があったな!ok!じゃあ、これで。ドラ子、傷付けてごめんな。いい人と出会ってな。こんな形で、フッてごめん。

 

 

 

あ、私フラれたん?

 

もうなんでもいい。

 

バイバイ!!

 

こうして無事、ナルシスト野郎との関係が終わりました。

 

旦那に出会ったのはこの3年後です。

 

付き合い始めてからすぐにアクセサリーをプレゼントしてくれて、誕生日にはご馳走してくれて、下心なんて微塵も見せずにベトベトな手を気にせず繋いでくれました。

 

大切にされるのって当たり前じゃないんだって知ることができたのは元カレのおかげです。

 

そんな事を思い出していたら、ますます旦那様が輝いて見えた、そんな休日なのでした。

 

ふー。

 

こんな長々しい話しに最後までお付き合い頂きありがとうございます。

 

それでは、また♪