会いたい会いたいキミに会いたい 伯母から姪へ重すぎるラブレター
ねぇ、こめ子。こめ子ちゃん。
あなたは私の姪っ子で私はあなたの伯母さんだけど、私達にはきっとそれ以上の絆があると思うのよ。
少なくとも私にとっては、我が子同然。
あなたが生まれた日、あなたを初めてこの胸に抱いたあの日から、私はあなたの虜になった。
この世に自分の命より大切なものがあるんだといちばん最初に教えてくれたのが、あなただった。
小さくてフワフワしているのに、背中に偉大なオーラをまとったあなたは、とてもとても
愛らしくて。
私に遊んで遊んでとせがむあなたがあまりにも愛くるしくて、なんでも言うことを聞いた。
あまりに甘やかすもんだから周りはみんなヤキモキしていたけれど、そんなの無視して甘やかした。
躾なんてしなくてもいい、お気楽な伯母さんの立場でね。
そうしたらあなたはどんどん私に懐いて、ママに怒られた時、友達にいじわるされた時、何か嫌なことがあった時にはすぐに私のところに来てくれた。
大丈夫。私が必ず守るからね。
そう言って何度あなたを抱きしめたことだろう。
笑顔も泣き顔も怒った顔も、あなたの全てが愛おしくて、どんなことからも守ろうと誓った。
悪い夢ひとつ見せたくなかった。
それなのに、いち姫が生まれてからはほとんど遊べなくなってしまったね。
小さないち姫にかかりきりで、あなたとの時間がなくなってしまった。
あなたは泣いて抗議した。
私はあっという間に大きくなるんだよ。
大人になっちゃうんだよ。
一緒に遊べるのは今だけなんだよ。
と。
私は言った。
大丈夫。大丈夫。もうちょっとだけ待っていて。赤ちゃんがもう少し大きくなったらいくらでも時間はあるからね。
と。
いち姫が成長し、あなたに懐きはじめると、あなたは本当によくいち姫の面倒を見てくれたね。
いち姫は私が守る!なんて言って。
そんなあなたに甘えて、私は仕事をはじめてしまった。
お金を稼いで、あなたといち姫にプレゼントを買ったり美味しいものを食べさせたりしたかった。
あなたたちの笑顔が見たくて。
そんなとき、あなたはまた私に抗議した。
仕事なんかしないで一緒に遊んでよ。
私といち姫はあっという間に大きくなるんだよ。
遊べるのは今のうちなんだよ。
だから遊んで。今!今遊んでよ!じゃないときっと後悔するよ!
と。
また私は言ってしまった。
大丈夫大丈夫。もうちょっとだけ待っていて。時間はいくらでもあるんだから。
仕事が落ち着いたら遊ぼうね。
と。
本当に遊ぶつもりだったんだよ。
全部終わって手がすいたらたくさん遊ぶつもりだったんだよ。
その日をずっと楽しみにしていたんだよ。
だけど結局、約束を果たすことはできなかったね。
酷いよね。
あんなに待たせたのに。
あんなに泣かせてしまったのに。
目の前のことに気をとられ、あなたやいち姫やこめ助と遊ぶ時間を優先しなかった私にバチが当たったんだ。
あなたたち家族が海の向こうへ行ってしまった。
それは突然決まって、嵐のようにあなたたちを連れて行ってしまった。
いつまでもずっと一緒にいられるんだと。
あなたたちの成長をずっと側にいて肌で感じられるんだと、そう信じて疑わなかったあの頃の自分が恨めしい。
どうしてあなたの必死の訴えを聞かなかったのか。
どうしてもっと一緒に過ごさなかったのか。
あんなに私を求めてくれていたのに。
あなたが飛行機に乗って旅立ったあの日から、私は空をあまり見れなくなった。
あなたとの距離を感じてしまうから。
必ず守ると誓ったのに泣かせてしまった自分の不甲斐なさを、まざまざと感じてしまうから。
あなたたちが渡米してから、毎日毎日泣き暮らした。
毎日毎日後悔した。
そこへコロナが追い討ちをかけて、更にあなたと会えなくなってしまった。
会えない間にあなたはどんどん成長していく。
どんどんどんどん大人になって、どんどんどんどん私から離れていく。
あなたの言ったことは本当だったね。
一緒に遊べる時間はあっという間に終わってしまったね。
いつまでも側にいられるなんて、明日は必ず来るなんて、そんな事はないんだね。
二太郎が生まれてから、いち姫を待たせてしまう時間が増えて、よくいち姫が泣くんだよ。
寂しい寂しい。
ママお願い。私の側に来て。一緒に遊んで。
ってね。
それはたいてい手を離せない時だからついつい言ってしまうんだ。
ちょっと待っててね。
って。
そんな時、私の頭の中で必ずあなたの言葉がよみがえってくる。
一緒に遊べるのは今しかないんだよ!
今遊ばないと絶対に後悔するよ!
そしてハッとするんだよ。
同じ間違いをしちゃいけない、と。
子どもとの時間をおろそかにしたらいけないと。
いつもそうやって、あなたが私を奮い立たせてくれる。
だから少しだけど、毎日ほんの少しだけど、いち姫と一緒に遊んでるんだよ。
こんな時間を作れるのは、あなたのおかげなんだよ。
いち姫は私が守る!
その言葉の通りに遠く離れても、いち姫を守ってくれているんだね。
本当にありがとう。
あなたを想うと涙が止まらなかった。
会いたい涙と後悔の涙が。
だけどね、泣き暮らしてた時に見つけたある物で、ちょっと心が軽くなったんだよ。
いち姫が生まれた頃に書いていた育児日記がね、この前久しぶりに出て来たんだけれど。
そこには、あなたと遊んでやれない私の後悔が書いてあって、あなたに何度もごめんねごめんねと書いてあって。
読み返してたらまた涙が溢れてきて。
こんなに謝ってるのに結局、遊べなかったなって。
そうやって後悔して泣いてたらね、裏のページに何か書いてあるのを見つけたの。
子どもらしい大きな可愛い字でしっかり書いてあるのを。
いいよ。
って。
その日記、どこから出て来たと思う?
あなたは知ってるよね。
そう。
あなたの机の引き出しから出て来たの。
大切にしまってあった。
とても大切にしまってくれていた。
私の気持ちとともに。
それを見た時に、声を上げて泣いてしまったけれど、それを最後に泣くのをやめたよ。
小さなあなたが頑張ったように、私も頑張るって決めたから。
もういいよ。過去にとらわれてないでサッサと前を向けよ。って言われた気がしたから。
離れてから、あなたはいつも言うよね。
アメリカに来てって。
絶対行くよ。って私は言ったね。
大丈夫。今度こそ、必ず約束を果たすよ。
必ず、あなたに会いに行く。
あなたがいる世界を、あなたが愛する世界を見に。
そしてもう一度、あなたを抱きしめに。
大好きだよ。
伯母より。
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今日はひときわ気持ち悪い内容に仕上がってしまいしたね。
だから深夜にひっそり投稿しておきます。
もし最後まで読んでくださった方がいらっしゃいましたら、心から御礼申し上げます。
アデュー。