ちょっとズレてるうちの妹の思い出話
私より2歳若い妹は、なんかちょっとズレてます。そしてかなりの頑固者です。
妹家族は今は海外にいるのでほとんど関わりはないのですが、なんだかチラチラと彼女のしょーもない話を思い出してしまって目障りなので、皆さんに聞いて頂いてスッキリしようと思います。
というわけでまたまたうちのくだらない話になりますが、よろしければ聞いて下さい。
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妹トロ子は幼い頃から頑固者。
一度決めたらどんな手段を使っても目的を達成しようとします。
例えそれがどれだけ間違えた決断であっても、周りがいくら時間をかけて説得しようとも、一度決めたら最後。
彼女の決断は絶対なのです。
私達姉妹がまだ小学生だったある日。
家族みんなでレンタルビデオ屋に行きました。
「なんでもいいから好きなビデオを選んでおいで。」
母の言葉で私達はそれぞれ好きなビデオを探しに行きました。
まだ小学生だったのでもちろんアニメコーナーに行ったんです。私は。
私だけは。
あれ、妹がいない。とすぐに気が付いてキョロキョロしてたら、1人トボトボと歩く妹を見つけました。
アニメコーナーとは逆方向です。
なんやろ?どこに行くんやろ?
私は一応、姉ですから、妹を守らねばならないと思って付いて行きました。
誘拐とか怖いし。
どんくさいから迷子にでもなってるんだろうと思って。
だけどそれにしては怯える事も狼狽える事もなく何か目的を持って歩いてるように見えました。
何か探してるような。
何を探してるのか気になって黙って付いていったら、妹はある場所でピタリと足を止めました。
アダルトコーナーで。
アホちゃう?
何してるん、こんなエッチなビデオばっかりのところで。
アダルトビデオなんて見た事ない小学生でも普通はわかりますよね。
あの独特の雰囲気とか裸の女の人がやたら写ってるパッケージ?とかばっかりのコーナーで子どもが近寄ったら行けないような、気まずいあの感じ。
男性しか近寄らない一角で突然小学生の女の子が現れてビデオを探し始めるもんですから先客も気まずそうにしてましたよ。
いちばん気まずいのは私でしたけどね。
「ちょっと、こんなところで何してんの?早くあっちに行こう。」
そう言って妹の手を引っ張ったんですが頑として動きません。
あるビデオに狙いを定めて。
私の制止を振り切って妹が手にしたそのビデオのタイトルは、
パンツの穴
「ちょっと!そんなんどうする気?早く戻して!あっち行くよ!ドラえもんの映画借りよう。」
姉の必死の説得にも耳を貸さない妹。
仕方がないので母親のところへ連れて行きました。
「お母さん、トロ子が変なビデオ借りたいっていうからやめさせて。」
確かにそれはエロビデオなんですがアニメだったのでパッと見てなんだか楽しそうな、もしかして子ども向きかな?って錯覚しそうなコミカルな感じのビデオだったんですけど、アダルトコーナーから引っ張り出して来たもんですからね。
決して子ども向きではないはずなんですよね。
タイトルからしてエロ丸出しなんで。
私だって何かはわからなかったけど、これは見たらアカンやつやって事くらいはわかるわけです。
もちろん母親も大反対してかなり時間をかけて妹を説得したんですが、
「いやや!絶対これにする!これじゃないと見たくない!パンツの穴がいい!」
とか大声で泣きわめき出すもんですから恥ずかしくて、じゃあとりあえず借りて帰ろうって事になりました。
他にドラえもんとかキョンシーとか借りたのでそれを見たらパンツの穴なんて忘れるだろうと思って。
で、あれもこれも見終わった2日後、ビデオを返却する前日になって妹が言いました。
「お姉ちゃん。パンツの穴見よう。」
うわ、覚えとる。
びっくりしましたが想定内だったので仕方がないから一緒に見ました。
当たり前にエロビデオでした。
本格的にイヤらしくなる前に妹が
「これじゃなかったー!!!」
と怒り始めて見るのをやめたのでセーフでしたが。
いったい何を期待しててん。
ほんまに訳のわからんやつやな。
こんな事は日常茶飯事でした。
次は家族で本屋に行った時の事。
「好きな本1冊選んでおいで。」
また母親の掛け声でブラブラ歩き始めた私達。
またしても妹が消えました。
どこ行ったんや。
次は早々に戻って来た妹。手には小さな小説を持っています。
小説?絵本すらほとんど読まへんのに?
不思議に思ってそのタイトルを見てみると、
あぁ無情
いやいや、無理やろ。
本好きならともかくアンタ本嫌いやん?
読んでもマンガとか絵本とかやん?
それ表紙にも中にも全然イラスト無いやんか。
やめとけば?
あぁ無情といえば有名なレミゼラブルの原作なんですけど、さすがに字を読むのが嫌いな子どもには難しい本なんですよね。
タイトルもなんか重たいし。
その重たい雰囲気の本を暗い表情をした妹が掴んで離さないんです。
普段は明るい妹が。
どうしたんやな。何か取りつかれてんのかいな、と思うほどの強ばった顔して離さないので、また根負けした母親が買っていました。あぁ無情。
帰ってから本を開いた妹はひとこと。
「字ばっかりで全然読めへん。」
でしょうね。そうでしょうね。
だから言いましたやん。やめときって。
結局妹は、あぁ無情を1行も読まずに終わりました。
だから何を期待したんやって。
最後は大人になってから家族で行ったステーキハウスで。
ある日ちょっとお高いステーキハウスに父親が連れて行ってくれたんです。
ステーキハウスといえばステーキでしょう。
当たり前ですよね。
両親と私がさぁ何グラムのサーロインステーキにしようかな、いや、ヒレステーキにしようかな、と悩んで悩んで悩み抜いて、 「300グラム、サーロインで!」とか、「400グラム、ヒレで!」とか各々注文してる中でですよ?妹は何て言ったと思います?
カレーライスで。
はぁ?
店員さんもびっくりですよ。
そこへご丁寧にもう一度。
カレーライスで。
確かに妹はカレーライスが好きなんです。
めちゃくちゃ好きでその店のメニューにもちゃんとカレーライスはあったんですけどね。
メインはステーキなんですよ。ステーキハウスですから。
別にカレーライス食べたかったら食べたらいいけどそれサイドメニューやからね。
ステーキも頼んどいたらいいやんか、と。
そしたら妹は、
「いらん。カレーライスがいい。カレーライスだけがいい。」
と目に涙を浮かべて言うんです。
「せっかくなんやしステーキ食べといたら?」
って言ってた店員さんも真っ青ですよ。
泣き出すから。
結局はステーキハウスでカレーライスだけ食べてましたけどね。
今でもなんですけど妹はどこに行ってもカレーライスを頼むんです。
だけどもっと好きなのは唐揚げ。
しょっちゅう作るのはクリームシチュー。
何がしたいねん。
ステーキハウスでステーキ食べようがカレー食べようが本人の自由やし好きにしたらいいと思うんですけどね。
パンツの穴見ようがあぁ無情読もうが。
好きにしたらいいんです。
ただちょっとズレてるな、と。
かなりの頑固者やな、と。
そんな妹の思い出がただチラチラチラチラ頭をかすめては1人でニヤついている、これまたズレてる姉のただの思い出話です。
まだまだいっぱいズレ話はあるんですが、あんり書くとぶちギレられるのでこの辺にしておきます。
今日もくだらない話を聞いて頂いてありがとうございます。
それでは、また🎵