うちのくだらない話

ポジティブに生きたい母の心の叫びを綴るブログ

春の嵐と汗と天パな涙の卒園式

可愛い我が子の晴れ舞台だというのによりによって春の嵐だったあの日。

 

台風を彷彿とさせる雨と風の狂演により、せっかくセットした髪は幼稚園に到着する頃には綿菓子みたいになってました。

 

美味しそう?

 

いやいやそういう事じゃなく。

 

このブログを何度か読んで頂いている方は察知してくださったと思いますが、私は天パなのです。

 

天然の、パーマ。

 

そして天パの天敵は湿気。

 

湿気があると、いくら時間をかけてスタイリングしようが関係なく、よく言えばソバージュ、悪く言えばスチールウールと化します。

 

だけどあの日は美容院のトリートメント効果なのか、綿菓子レベルで収まっていました。

(鏡がないので触って確認)

 

まぁいい。これくらないなら許容範囲だ。

 

意気揚々と保護者席に着くと同時に旦那が言いました。

 

「なんで下ろして来たん?えらいことになってんで。髪の毛。どこもかしこも天パやで。」

 

確かにな。

 

なんでセミロングの天パをちょっとセレブ風の内巻きにするなんてスリリングな冒険してしまったんやろ。

 

セミロングの天パなんてちょっとした爆弾抱えてるみたいなもんなんやから。

 

よりによってこんな暴風雨の日に。

 

式なんやからさ、アップで良かったやん。アップスタイル。

 

「又吉みたいになってるで。ピースの。」

 

なんやって!?

 

又吉さんは好きやけど、私にあの髪型は合わへんやんか。

 

生活疲れが滲み出てしまうやんか。

 

焦った私は咄嗟に言いました。

 

「うそつき。」

 

彼氏に甘えたいのに素直になれないあまのじゃくな彼女風に。

 

「うそちゃうし。」

 

若干引きぎみな旦那。

 

わかってる。

 

嘘じゃないってわかってる。

 

最近ずっとオールバックのひとつくくりにしてたせいで自分の髪がこれほど湿気に弱い天パだって忘れていたのと、トリートメントが縮毛矯正レベルの力を発揮するんだとなぜだか勘違いしていた私が悪いってわかってる。

 

だけど愛する娘の晴れの日の為だけに大枚はたいたのに、当日に頭が大惨事なんてそんな惨めな卒園式ある?

 

「ママ、綺麗にしてきてね。」

 

って言ってた娘の気持ちを思うといたたまれない。

 

だから嘘だと思いたかったんです。

 

「まぁいいやん。誰も見てないし。」

 

そうよね。

 

だって今日は園児達の晴れ舞台。

主役は子ども達。

 

影の薄い私の髪型が注目されるわけじゃない。

 

そう思うと綺麗さっぱり髪型の事は忘れて、気づけば子ども達の入場を今か今かと心待ちにしていました。

 

すぐに気持ちが切り替わるのはバカの良いところ。

 

次に気になったのは誰にも預けられなかったので一緒に連れて来た1歳二太郎がなんだかそわそわし始めた事。

 

まだ式が始まってもないのに外に出たいと、雨風に晒されている園庭を指差しています。

 

式の途中で騒ぎ出したら外に出なあかんやん。嫌やなー。

 

娘の大事な日をひとつ残さず見届けたい。

 

だから必死に二太郎のご機嫌を取りました。

 

下の子を連れて来てる保護者はうちを入れて

4組だけだったので騒がれたら目立ち過ぎるので。

 

こういう時、幼稚園で預かってくれたらなー、なんて身勝手な事を思いながら必死にあやしているとどんどん体が汗ばんで来ました。

 

外からだけじゃなく、体の内側からの湿気にまで攻撃される天パ。

 

鏡を見てなくても経験上わかってしまう。

 

爆弾が爆発してしまったって。

 

もうお手上げ。

 

どうにでもなれ。

 

そうこうしているうちに式が始まり園児が入場してきました。

 

入園式とは違い、親が手を引かなくてもしっかりと整列して背筋を伸ばし、自信に満ち溢れた表情で堂々と歩く子ども達。

 

中でも我が子いち姫はひときわ輝いて見えました。もちろん、私と旦那だけには、ですが。

 

入園式のあの日、1人だけ泣きわめいて暴れて大変だった。

 

集合写真も暴れてなかなか撮れずに迷惑かけまくり。

 

夏休みまで毎日登園拒否して大暴れするのを引きずるようにして連れて行った。

 

なんで他の子は楽しんでるのに、うちの子だけこれほど幼稚園を嫌がるんだろうと悩んで。

 

毎日幼稚園から電話がかかってきて、泣きわめいて先生から離れず給食をひとくちも食べないいち姫の様子を聞いては落ち込んで。

 

先生は決して親を責める為じゃなく、登園渋りが酷いいち姫と私を心配して電話をかけてくれていました。

 

毎日謝り続ける私に先生は毎日言ってくれました。

 

「お母さん大丈夫です!いち姫ちゃん、絶対幼稚園も給食も好きになりますから!大船に乗った気持ちでいてください!」

 

親子遠足でもずっと泣いて暴れていたいち姫。

 

土日以外はひたすら大荒れの我が子に心身共に疲れ切っていました。

 

そんな私に先生達は、お迎えの度に声をかけてくれました。

 

「お母さん!今日いち姫ちゃん、頑張って大根食べてくれたんですよー!」

 

「お母さん!今日いち姫ちゃん、私にすごく懐いてくれてめちゃくちゃ可愛かったんですよ!」

 

「お母さん!いち姫ちゃん、お母さんが大好きなんですね!お母さんがいつもいっぱいあそんでくれるって言ってはりましたよー!」

 

担任の先生も、担任じゃない先生達もみんな声をかけてくれました。

 

それが本当に嬉しくて、元気になれました。

 

沈んだ心がパァっと晴れていくのがわかりました。

 

どんな時も溢れる笑顔で子ども達をギューッと抱きしめてくれる先生達。

 

広い園庭と先生達や園児達の明るい表情を見て選んだ幼稚園。

 

そんな幼稚園の全てを信じていました。

 

大船に乗った気持ちで。

 

親が不安になっちゃいけない。

 

まずは親が幼稚園を信じないと、子どもも幼稚園を信じない。 

 

先生達はいつもいつも明るく優しく両手をいっぱいに広げていち姫を迎えてくれました。

 

先生達の笑顔が、私に安心を与えてくれました。

 

寝ても覚めても泣きわめくいち姫に心底疲れた日もあった。

 

怒鳴り散らした日もあった。

 

他の親子が羨ましくて仕方ない日もあった。

 

何もしない旦那に毎日怒りをぶつけ続けた。

 

自分の育児が全て間違っていたのかと涙が止まらなかった。

 

これほど幼稚園を嫌がるなんて、本当は何かあるんじゃないかと疑心暗鬼になる日もあった。

 

そんな日々に、先生達は決して私達親子を見捨てず、明るく元気な笑顔を惜しげもなく注いでくれました。

 

その優しさにどれだけ救われたことか。

 

そうして、頑なだったいち姫の心は、少しずつ解れていきました。

 

登園渋りをしなくなり

 

先生達に笑顔を見せて

 

家でも笑うようになりました。

 

お友達もできて、楽しく通うようになりました。

 

給食を食べ終えるのはいつもビリっけつだったけど、完食できるようになりました。

 

風邪ばっかりひいてたくさんお休みしたけれど、いくら休んでも嫌がらずに登園しました。

 

お話し好きのいち姫は毎日、いろんな先生やお友達にたくさん話しかけていました。

 

先生もお友達もちゃんと話を聞いてくれました。

 

だんだんお友達が一緒に遊んでくれなくなって1人ぼっちになっても、先生達に会いたくて、抱きしめてほしくて、お話ししたくて幼稚園に通いました。

 

参観日や朝の挨拶は緊張して小さな声しか出なかったけれど、少しずつ大きな声を出せるように練習するようになりました。

 

そしてあっという間に年長組になりました。

 

最後の発表会では誰よりもかっこよくキレキレで踊っていて先生達からたくさん誉められました。

 

最後の誕生日会では人前で物怖じせずに堂々と自己紹介できました。

「私はさくら組のバナナ家いち姫です。平成26年7月7日に生まれました。大きくなったらケーキ屋さんになりたいです。」

 

大きな声でハッキリと。

 

こんなに堂々と話す子が本当に我が子なのかと感動しすぎて涙が溢れました。

 

「年少の時にあれだけ泣いてたいち姫ちゃんがこんなにしっかりするなんて!感激して涙が出た!」

 

登園渋りを覚えてくれていた他のママ達にも誉められました。

 

いち姫ちゃんすごい!よく頑張った!

そうたくさん言ってもらえて、どれほど誇らしかったことか。

 

そして迎えた卒園式。

 

キビキビと歩く我が子の姿を見た瞬間に涙が込み上げてきました。

 

本当にしっかりしたな。

まだまだ赤ちゃんだと思っていたけど、いつの間にか立派なお姉さんになってる。

 

そして、卒園証書授与で大きな声でハッキリと返事をして「ありがとうございます!」としっかり言えたその声を聞いた時、確信しました。

 

もう大丈夫だ、と。

 

ずっと、私が側で守ってやらなければ、私の胸でずっと守り続けなければ。

 

そう思っていたけれど、もう大丈夫。

 

この子はもう、自分で、自分の足で歩んでいく力を持っているんだ、と。

 

強く思いました。

 

我が子の進む道を信じようと。

 

長い式に耐えられず暴れ出した二太郎をなだめ透かして汗だくになり、涙で顔はぐちゃぐちゃになりましたが、なんとか無事に卒園式が終わり、嵐の中家路につきました。

 

「私達が卒園するからお空の神様が寂しくて泣いてるんだよ。」

 

幼稚園最後の日をかっこよく終えてご満悦のいち姫が空を見上げて言いました。

 

「そうだね。寂しいね。」

 

素晴らしい幼稚園に、もう娘が通うことはないんだと思うと涙が止まらない私とは対象的に、いち姫の表情は晴れやかでした。

 

「大丈夫だよ、ママ。幼稚園はずっとある。先生やお友達にもまたいつか会える。ただ学校に行くだけなんだよ。」

 

少し前まで、新しい環境に飛び込むことを過剰に恐れていたいち姫が、知らない場所に行っては怯えて震えていたあの小さかったいち姫が、自信たっぷりに笑っています。

 

「私なんだか学校が楽しみになって来た。」

 

いったいいつの間にこんな立派に成長したんだろう。

 

よく頑張ったね。

 

よくここまで大きくなってくれたね。

 

ママだけじゃ無理だったよ。

 

ママとパパだけじゃ、あなたにこれほど自信を付けてあげられなかった。

 

幼稚園の先生やお友達にたくさん愛してもらったおかげ。

 

そして、あなた自身の頑張りのおかげ。

 

ありがとう。

 

そしておめでとう。

 

せっかくの晴れの日にこんな嵐で、帰って鏡を見たら頭がメドゥーサで、幼稚園で家族写真を取り忘れたのを思い出して地団駄踏んで、いろんな思いが入り雑じってその夜は泣き明かしたけれど、翌朝目覚めるとなんとも清々しい晴天でした。

 

まるで、いち姫の門出を祝うかのように。

 

未知の学校生活に不安でたまらなかったけど、きっと大丈夫。

 

世界はきっと夢と希望に満ち溢れてる。

 

いち姫の進む道は、美しく輝いている。

この空のように。

 

だから大丈夫だと自分に言い聞かせて。

 

あぁ、こうやって親も一緒に成長するんだな、と。

 

そんな風に最近、感傷に浸りまくっておりました。

 

そして心に決めました。

 

「パパ!縮毛矯正するからお金ちょうだい!2万円!」

 

「…3ヶ月待って。」

 

「…」

 

働きます。

 

入学式には間に合いませんが、参観日にはセミロングのサラサラストレートヘアを風になびかせ登場するママになれるように。

 

新芽が芽吹く始まりの季節。

 

親も子も人生楽しまなくちゃね。

 

 

今日もくだらない話を聞いて頂いてありがとうございます🎵