うちのくだらない話

ポジティブに生きたい母の心の叫びを綴るブログ

占いタクシーに乗った話

どうも。ドラ母です。

 

実家暮らしで羽振りがよかった独身時代、私は事あるごとにタクシーに乗っていました。

 

たまに、何してくれんねん!?と目をひん剥くほど酷い対応をしてくれた方がいましたが、ほとんどがとても優しい運転手さん達でした。

 

たくさんの運転手さんに出会いましたが、中でも特に忘れられない方がいます。

 

彼はただのタクシー運転手ではなく、目的地に着くまでひたすらタダで占ってくれる占いができるタクシー運転手さんでした。

 

当時50代くらいのその運転手さんは、行き先を告げる私をバックミラーでチラチラ見ながら言いました。

 

運転手「お客さん、よく風邪ひかれるんじゃないですか?寒い冬には冷たい水やアイスクリームは控えて体を温めた方がいいですよ。」

 

それは真冬の寒い日でしたが、私は風邪などひいていませんでした。

 

が、

 

毎日冷たい水を飲み、大好物のバニラアイスクリームを食べ、しょっちゅう風邪をひいていました。

 

私「え、な、なぜそれを!?」

 

驚きのあまり、学芸会かよってくらいの棒読みセリフを発した私の反応を見て、彼はたいそう喜びました。

 

運転手「いやぁ、私ね、今、占いにハマってましてね。当たってました?」

 

私「は、はい。めちゃくちゃ当たってます。」

 

運転手「そりゃあ、良かった。ところであなたのお母さんの夢、叶えた方が良いですよってお母さんにお伝えください。自分のお店を持つ夢。」

 

私「え!?」

 

当時うちの母親は小さなカフェを経営したいと毎日のように言っていました。

 

私「え、な、な、なぜそれを!?」

 

大根役者のようなセリフを発しながら、びっくりしすぎて後部座席の背もたれに背中と両腕を貼り付け、座りながら後退りするというオーバーリアクションをして見せる私に、満面の笑みを浮かべながら、続けて彼は言いました。

 

運転手「わかります。わかります。あなたを見てたらよくわかるんです。お母さん、自分の店を持ったらすごく生き生きすると思いますよ。働くのが好きな人だから。」

 

私「なぜ…」

 

なぜそれを知っている!?

 

ずっと専業主婦だった母親は、外で仕事をしたがっていました。

ただ、うちの頑固な昔気質の父親の反対で働きに出るのを断念していたので、その頃は溜まった鬱憤に母が押し潰されてしまいそうな、なんとも危なげな時期だったのです。

 

運転手「お父さんはものすごく頑固な方なんですね。お母さんの夢を叶えたら、もっと家庭が良くなりますよ。」

 

私「ありがとうございます。」

 

すごい。すごいなこの人。

 

私からは何の情報も発していないのに、私の外見や雰囲気だけでそこまでわかるとは。

 

シャーロック・ホームズか?

 

運転手「今はまだ勉強中なんですけれどね、良かったらもっと占いましょうか?」

 

私「ありがとうございます!じゃあ、お願いします。」

 

運転手「あなた、妹さんいますよね?」

 

私「はい。え、さっきから、何でそんなに分かるんですか!?」

 

運転手「あはははは。あなたを見てたらわかるんですよ。」

 

ま、まさか、占いじゃなくて霊的なチカラなのか!?

 

運転手「誕生日を教えて下さい。」

 

あ、占いでしたか。

 

私「1980年4月10日です。」

 

運転手「絶対に触りませんから、少し手のひらも見せて頂けますか?」

 

はい、占いですね。安心しました。

 

ちょうど目的地に着いたところだったので、手のひらを見せました。

 

もちろん彼は決して触れませんでした。

 

運転手「料金メーターは切っておきますから安心して下さいね。うんうん。あなたは今、心の中で気になっている方とは違う人と結婚されますね。33歳くらいまでには。」

 

私「え!?私結婚できるんですか!?嬉しい!!ど、どんな人ですかね?」

 

当時確かに、気になってる人がいましたが、誰だったか思い出せないくらい今となってはどうでもいい人です。

 

運転手「優しい人ですよ。」

 

なんともありきたり…。

 

運転手「妹さんはもう結婚されてますか?」

 

私「え、まだです。」

 

運転手「妹さんの誕生日は?」

 

私「1983年2月10日です。」

 

運転手「ずっと付き合ってる人いますよね、妹さん。その人と結婚されますよ。うーん。なんか気になるなー。妹さんの彼の誕生日わかりますか?」

 

私「1980年3月20日です。」

 

運転手「うんうん。はいはい。あー、やっぱり。その彼、すごいですよ。自分の願った通りに人生が拓けて行く人ですよ。妹さんいい人見つけましたねー。その人を絶対離さないように伝えてください。」

 

高校時代から付き合ってる2人の事も言い当てた彼の言う通り、義弟は自分の願いをことごとく現実にし人生を切り拓いて行く人です。現在は願い通りに家族でアメリカに住んでいます。

 

運転手「妹さんの手のひらを見てないからハッキリとは分かりませんが、お子さんが2人生まれるはずですよ。多分、女の子が2人。手を見てないから違うかもしれないですが。」

 

現在妹は2人の子どもの母です。女の子と男の子。手のひらを見てたらドンピシャだった事でしょう。

 

私「すごい…。なんか、これまでのどの占い師さんより当たってます…」

 

驚き疲れた私を見て、彼は優しく言いました。

 

運転手「いやいや、お客さんが素直な方だからわかりやすいんですよ。良ければもっと占いましょうか?何か気になる事はありますか?」

 

私「はい…。ずっと気になってる事があります。私は将来、子どもを授かれるんでしょうか。」

 

物心付いた頃から母になるのが夢だった私ですが、ずっと生理不順に悩み、当時通っていた産婦人科では、自然妊娠は望めないから結婚したら不妊治療した方が良いですよと勧められて落ち込んでいました。

 

運転手「もう一度手のひらを見せてください。あ、大丈夫ですよ。ちゃんとお子さん産まれますよ。それも2人。女の子と男の子。一姫二太郎!良かったですね!」

 

私「本当ですか!?嬉しい!ありがとうございます!」

 

運転手「冷たい水ばっかり飲んでないで、体を温めてくださいね。」

 

私「ありがとうございます!」

 

運転手「あ、最後に…。やっぱり、あなたのお母さんのことがすごく気にかかりますから、ちゃんとお伝えして下さいね。必ず成功するから、夢を叶えてください、と。」

 

私「わかりました!」

 

友人との待ち合わせ時間が迫っていたので、お礼もそこそこに焦って運転手さんとサヨナラしてしまった事を未だに後悔しています。

 

しっかり名前を聞いておけば良かった。

 

友人と過ごした後、飛んで帰って全てを母に話しました。

 

母はとても喜びました。

その日から、母はなんだか吹っ切れたように元気になりました。

 

残念ながら夢は未だに叶えられていませんが、店を持った方が良いくらいの料理の腕前です。

 

お母さんは必ず成功する。

 

そう言ってくれたあの運転手さんにまた会いたい。

 

何度かタクシー会社に問い合わせて探しましたが名前が分からないので見つかりませんでした。

 

時が経つほど現実になっていく運転手さんの占い。

 

その後30代で結婚した私の旦那は、占い通り優しいだけが取り柄の人です。(遠回しの悪口やめろ)

 

女の子と男の子を授かり、母になる夢が叶いました。

 

あのタクシーで過ごした時間は幻だったんだろうか。私達家族に夢と希望を与えてくれた天使だったんだろうか。

 

正月中の昼下がり、遠い目で昔を懐かしんでいると、運転手さんのもうひとつの言葉を思い出しました。

 

運転手「妹さんの旦那さんになる人ね、脂肪肝に気をつけてくださいね。脂肪が付きやすいみたいですから。」

 

つい先日、妹からLINEで送られて来た義弟の身体が1年前に会った時から3倍に膨れあがっている姿を見て確信しました。

 

やはり、最強の占い師だ、と。

 

素敵な出会いはどこに転がってるのか分からないのですから、人生って不思議なものですよね。

 

さて、母と一緒に夢の話しでもしようかな。

 

終わり。

 

今日もくだらない話を聞いて頂きありがとうございました。

 

☆それでは、また♪☆