うちのくだらない話

ポジティブに生きたい母の心の叫びを綴るブログ

夢で逢えたら

「1度でいいから、出て来てほしいんだよ。私の夢の中に。」

 

小学校に入学したばかりの娘いち姫がポツリと言いました。

 

時間があれば、折り紙をハサミでチョキチョキ切って幼稚園で使っていた黄色いゾウのバッジを作っています。

 

白い紙には自分と幼稚園の先生が手をつないでいる絵を描いて、便箋には先生への手紙を書いてます。

 

幼稚園に未練タラタラです。

 

中でも、いち姫達の卒園と共に退職した担任のアイ先生への想いがひときわ強く、毎日卒園アルバムを開いては美しく微笑む先生を見て涙ぐんでいます。

 

「寂しいよ。アイ先生に会いたいよ。一度でいいから、夢でいいから会いたいよ。」

 

今のところは小学校も楽しんで、放課後も友達と遊んで忙しくしているいち姫ですが、ふとした時にアイ先生を思い出してはその思い出に浸っています。

 

お話し好きのいち姫は毎日、幼稚園の先生達にたくさん話しかけていました。

 

どの先生も皆んないち姫のとりとめのない話を喜んで聞いて笑ってくれました。

 

「いち姫ちゃんたくさんお話してくれてすっごく面白いんですよ〜!!」

 

お迎えに行けば色んな先生が声をかけてくれました。

 

「いち姫ちゃん本当に可愛くて、きっと小学校に行ったら皆んなに愛される女の子になるんだろうなっていつも思ってます。」

 

マイペース過ぎてなかなか友達ができないいち姫を心配していた私に掛けてくれたアイ先生のこの言葉が心の支えになりました。

 

優しくて綺麗で子ども達から大人気だった先生は、ご結婚を理由に退職されました。

 

それを知ったいち姫が言います。

 

「どこの誰がアイ先生と結婚しやがった!?」

 

どこの誰の子や、言葉使いが悪すぎるこの子は。

 

「腹立つわ!!結婚したからって幼稚園の先生辞めさせるなんて腹立つわ!結婚した男め!!」

 

卒園しても幼稚園に行けばいつでもアイ先生に会えると思っていたいち姫の怒りは止まりません。

 

「アイ先生を返せ!!」

 

「アイ先生は自分で幼稚園の先生辞めるって決めはったんよ。アイ先生の旦那さんが決めはったんじゃないよ。」

 

「なんで幼稚園の先生辞めるって決めはったん!?」

 

「知らんけど多分、遠くに引っ越すとか、すっごいお金持ちと結婚してお城に住むとか、そういう事やと思うわ。」

 

適当な事を言うな。

 

「ふーん。じゃ、仕方ないな。」

 

さすがは子ども。超アッサリ。

 

「卒園アルバム見とこ。アイ先生がいるから。」

 

そう言って開いた卒園アルバムには、優しく微笑むアイ先生がいます。

 

まるで、ずっと見守っているからね、と言うかのように。

 

「はぁ〜。会いたいなぁ。」

 

これほどまでに子どもに慕われるのは、それほどアイ先生が素晴らしい先生だということです。

 

いち姫が通っていた幼稚園の先生達は、いつも元気いっぱいの笑顔で子ども達を抱きしめてたくさん遊んでくれました。

 

子ども達だけでなく親の不安にも寄り添ってくれました。

 

素晴らしい幼稚園に通えて本当に良かった。

 

いち姫も、たくさん愛してもらった幼稚園を心の支えに小学校生活を頑張っています。

 

「まぁまぁ、いち姫ちゃん。そんなに寂しがらなくても、アイ先生より綺麗なママがここにいるやんか。」

 

「どこが綺麗やねん。太ってばっかりいるくせに!」

 

慣れない小学校生活でご乱心の一年生。

 

「アイ先生はな、ママみたいな臭い口じゃなかったわ!」

 

はいはいはい。

 

好きに言うがいいよ。

 

しばらくはあなたを甘やかすと決めたから。

 

「ママなんて大嫌い!!いっつも二太郎ばっかり可愛がって!!私をほったらかして!!私に寂しい思いばっかりさせて!!大嫌い!!うぇーん!!」

 

なれない環境で赤ちゃん返りと反抗期が激化している6歳児をひたすらなだめて「世界一大好き、誰よりも大好き」と言う毎日に笑顔が引きつりそうになった時、ふと思い出すアイ先生のこと。

 

「お母さん、大丈夫ですよ。」

 

先生の笑顔に、言葉に、どれだけ安心したことか。

 

ママも会いたい。

 

アイ先生に会いたいよ。

 

夢でいいから。

 

センチメンタルってこういう感じ?

 

「ねぇ、いち姫ちゃん。早く寝て、一緒にアイ先生の夢見よう!」

 

ご乱心の娘に掛ける言葉を使い尽くしたので、アイ先生の名前を出してみました。

 

「ママ、寂しいの?大丈夫だよ。いつか会えるよ。アメリカに行ったわけじゃないんやからさ。」

 

へっ?

さっきまで夢でいいから会いたいって言ってたん。

 

さすがは情緒不安定。

 

言ってる事がめちゃくちゃです。

 

まぁいっか。

 

「ママがいてくれたら、それでいいから。」

 

たった一言で見事に母のハートを射抜くピカピカの一年生。

 

さすがは私の子。

 

「ママ大好き。」

 

「いち姫ちゃん大好き!」

 

ほんと。

 

なんだかんだあるけど、大丈夫って思ってたら大丈夫になりますね。先生。

 

なかなか荒れているいち姫に引っ張られてイライラしないよう、先生の言葉を胸に、親子で成長していきます。

 

「ちょっとママ!私にもご飯食べさせてよ!」

 

「自分で食べてよ!もう!」

 

引っ張られまくってますが。

 

ちょっとした事で挫けそうになるメンタルですが、意地でも前を向いて行きます。

 

素晴らしい先生に会えたから。

 

素晴らしい幼稚園に会えたから。

 

これからも素晴らしい出会いがきっとあるから。

 

こうやっていつまでも幼稚園を懐しんで全然前なんて向けてませんが。

 

とにかく母も頑張るよ。

キミと一緒に。

 

それではちょっと失礼して、二太郎と一緒にお昼寝します。

 

ご乱心いち姫を受け止める為のパワーチャージです。

 

 

夢で逢えたら、いいのにな。

 

それでは、お休みなさい。

 

今日もくだらない話を聞いて頂いてありがとうございました✨