うちのくだらない話

ポジティブに生きたい母の心の叫びを綴るブログ

公園観察日記:天邪鬼男子VS心の声が出ちゃう女子

夕方の公園で子ども達がワイワイ楽しく遊んでいましたら、近所のヤンチャボーイがやってきました。

 

小学2年生でガタイの良い彼はどうやらヤンキーに憧れているようで、「待てコラァ!ケンカ売ってんのかコラァ!」などと叫びながら年下ガール達を追いかけます。

 

はじめは何だコイツは、とギョッとしたんですが、彼は決して何か危害を加えるでもなくどちらかと言うと一緒に遊びたいのに素直になれない天邪鬼なだけなんだな、きっと、と広い心で監視してるんです。私、大人なんで。

 

そしたら小学1年生のうちの娘とその友達Aちゃんもキャアキャア言いながら「追いかけてみなー!!」などとヤンチャボーイを挑発してかなり楽しそうに遊んでるんで、一安心して微笑ましく見ていたら、ヤンチャボーイとその友達が突然ゾンビになったんですね。

 

別にゾンビに噛まれたわけじゃないのに突然ゾンビが自然発生したもんですから私もビックリしてたんですがもっとビックリしたのはガール達でして。

 

「アウー アウー!ガウー!!」

 

とか叫びながら目をひん剥いて両手広げて追いかけてくるもんですからガールズがめっちゃ怖がり出したんですよ。当たり前ですよね。

 

特にうちの娘いち姫はゾンビごっことかお化け屋敷ごっこなんて世界一嫌いなもんですから半狂乱になって逃げ始めたんです。

 

いち姫「怖い怖い怖い怖い!!やめて!もうやめて!」

 

しまいに一緒にいたAちゃんも怖がり出して2人で怯えてたんです。かわいそうに。

 

でも子どもの世界だから危なくない限り下手に口出ししたらアカンなとこれまた広い心で監視してたんですよ、大人やからね。

 

そこへヤンチャゾンビが、「いち姫、待てー」 とゾンビらしいゆっくりとした口調で言ったんです。

 

そしたら怖い怖い言って怯えてるいち姫が怖い怖い言いながら

 

「あの、ちょっと…

 

 

呼び捨てはやめてもらえる?」

 

とか急に真顔で言い出しまして、それを聞いたゾンビがゾンビであるのもすっかり忘れて「はぁ?」ってなってたらまたいち姫が怖い怖い言いながら

 

 

「呼び捨てされたら腹立つねんか。」

 

と更なる真顔で言ってすぐにまた怖い怖い怖い怖い言ってるんですね。

 

なんやねん。

怖いんか腹立つんかどっちやねん。

ゾンビーズも困惑の色を見せてたんですけどやはりそこはゾンビなので怯むわけにも行かずにどんどん追いかけてしまいにガールズが泣き出したんですね。

 

そしたら大人(私)の手前ヤバいと思ったのかヤンチャな方のゾンビがあろうことかうちの1歳の二太郎に標準を合わせて腕をガッと掴んで「コイツを食べてやる」とか言って抱きかかえようとしたんで二太郎が怯えて大泣きしたんですよ。

 

おい何すんねん!

 

可愛い息子のピンチにおばはん我を忘れてガチ切れですよ。

 

「そんなにきつく腕掴んだら折れるやろ!!落として頭ぶつけたら死んでしまうんやから勝手に抱っこしたらアカン!!」

 

ゾンビからしたら何だかんだ言って可愛いから小さい子を抱っこしたいだけやってわかってるんですけど危ないからね。

 

そこはビシッと言いますよ大人やから。

 

一部始終を見ていたいち姫がまた怖い怖い怖い言ってたのに急に真顔で

 

「オイ!コラ!お前何してくれてんねん、人の弟何泣かせてくれてんねん。次泣かせたら叩きのめしてやんぞコラ!」

 

って叫んだ後に我に返って怖い怖い怖い怖い言ってまた逃げ始めまして。

 

え、ナニゴト?って一瞬みんなキョトンとしてたんです。

 

当然ですよね。親の私もビックリですよ。

 

だってうちの子ヤンキーでもヤンキーの卵でもなく大人しい子なんですよ?

 

しばらくして、めっちゃ怒鳴られた気がしたけたどあれ何?気の所為?あぁそうや気の所為やったなって気を取り直したゾンビーズがまた追いかけだして、それが段々エスカレートして来たんでそろそろ止めようと思って声掛けしたんですよ。

 

「お巡りさん!ゾンビから女の子達を守ってください!お願いします!」

 

そしたらなんと、ヤンチャな方のゾンビが一瞬で警察官になって

 

「わかりました!私がゾンビをやっつけます!君たちはそこへ隠れて!」

 

とガールズを安全な滑り台の下に誘導してくれたんです。

 

するといち姫が

 

「あ、じゃあ帰りますので!」

 

とスキを見てトンズラを試みました。

 

「おい待て!いいから待てって!守ってやるから!」

 

警察官は必死です。

 

「おい!お前!1年生泣かすなや!!もうゾンビやめろや!!」

 

親友のあまりの変わり身の速さにビックリしてたもう一人のゾンビは速攻で警察官に捕まってキョトンとしててその顔がまた面白くてクックックと笑ってしまいまして、私が。大人しくね。

 

うつむいて密かに笑ってたらいつの間にかゾンビごっこが終わってて、やれやれ、そろそろお開きにするかなと思ったら警察官が突然歌い出したんですよ。

 

映画鬼滅の刃 無限列車編の主題歌「炎」を。

 

「ありがとう〜さようなら〜声の限り〜」

 

って。

 

え、何!?

次は鬼滅の刃ごっこでも始まるんか!?ってまた怯えだしたガールズを和ませようと、映画の名セリフを言ったんです。私が。大人の威厳を最大限に発揮して。

 

「お前も鬼にならないか?」

 

って。

 

映画観た人ならすぐにわかる鬼の猗窩座(あかざ)の名セリフを。

 

もちろん警察官に向かってね。

 

自分で言うのもなんですがめちゃくちゃ上手でホンモノかってくらいの完成度だったにも関わらず警察官から何の反応も返って来ない事に気付いたのは10秒後なんですけど、アレ?ってなりましてね。私が。

 

警察官があまりにも何それって顔して微動だにしないもんですから。

 

大人のカンてやつですかね。

 

聞いてみたんですよ。

 

「もしかして映画、観てない?」

 

って。

 

いやぁ、ごめんごめん。

実はおばちゃんも映画観てないんやけど予告でやってたからもしかしてこのセリフは知ってるかな、知ってたら盛り上がるかなと思って言ってみただけなんやけどって表情をしながらね。

 

そしたら警察官が

 

「無限列車、観に行ったで。DVDも持ってる」

 

って左右の目をキョロキョロさせながら言ったんです。

 

それを聞いて

「えー!?いーなー!!映画観に行った上にDVDも持ってるの?いーなー!」 

ってちょっと騒いでしまったんですよ。

 

あろうことか私が。大人気なく。

 

するとそこへまだ怖い怖い言って怯えてるいち姫が、

 

「え、でも…

 

 

無限列車のDVDってまだ発売されてないよね」

 

 

って真顔で言いに来てすぐに私の影に隠れたんですよ。怖い怖い言いながら。

 

あ、そうやんか。

 

無限列車編DVDの発売まだやんかって思い出して警察官の顔見たら、なんか無言で天を仰いでるんですよね。

 

あぁそうか。

ついつい見栄を張っちまったか。

まだ子どもやもん。そういう時もあるよな。

 

「多分、無限列車より前のエピソードのDVDを持ってるって事よ。」

と、大人としてなんとかその場を軽く流して、さて、今度こそお開きにしようとしたその時、急に勢いを取り戻した警察官が重装備なのに水がちょっとしか出てこないポンコツ水鉄砲をチョロチョロと発射し始めたんですよ。

 

もう時間も時間だしこれ以上長居はごめんだしで

 

「お、水鉄砲いいね!今度いち姫も水鉄砲持って来て皆で遊ぼうね。今日はもう遅いから。バイバーイ!」

 

って上手くまとめて帰ろうとしたらいつの間にか警察官じゃなくなってるヤンチャボーイが、

 

「よっしゃ!!じゃあ明日、4時に水鉄砲持って公園に集合な!いいかお前ら!絶対来いよ!対決や!」

 

なんて嬉々として皆に命令し始めたんです。

 

まぁ、どうせ学校から帰ったら毎日公園なんで「いいよ」って軽く私も返事したんですよ。いち姫も二太郎も水鉄砲で遊ぶの大好きなんで。

 

そしたらいち姫が

 

「あぁごめん。明日はちょっと…

 

用事あるから無理なんだ。」

 

 

とか言って断ってるんですよ。

 

それを聞いたヤンチャボーイはめちゃくちゃ怒り出して、

 

「なんでお前のお母さんが遊べるって言ってんのにお前が無理やねん!!なんの用事か言ってみろやぁー!!」

 

って地団駄踏んで叫びだして、それに怯えながらもいち姫が

 

「それは秘密だから言うわけないやろ」

 

って真顔で言ったんです。で、すぐに私の陰に隠れたんです。怖い怖い言いながら。

 

あぁ悪い事したな。私がいち姫の意見聞かずに勝手に決めたからやなって反省して、まぁまぁとヤンチャボーイをなだめようとしたら、

 

「私も明日用事あるんやった」

 

とかAちゃんまで言い出したもんやからヤンチャボーイ怒り狂ってヒートアップですよ。

 

「じゃあ明日どうすんねん!!!」

 

て。

 

仕方がないのでここは私が一肌脱ぎますかとばかりに渾身の演技をしてみせました。大人ですからね。

 

「あ、思い出した!明日用事あるんやったわ!って事でまた今度ね!バイバイ!」

 

そう言ってそそくさと無事に帰路に着きましたが背後から響く大絶叫になぜだか胸騒ぎを覚えました。

 

「皆いったいなんの用事があんのか言ってみろやあぁぁぁーーー!!!」

 

 

翌日。

 

 

なんの用事もないけどさすがに今日は公園行けないねと、久しぶりに家でゆっくりしているとインターホンが鳴りました。

 

ピンポーン!!

 

あらあら誰かしらと玄関を開けたら不敵な笑みを浮かべて立っているヤンチャボーイ。

 

「なぁ、遊べる?」

 

キャー!!何でいるん?何で来たん?と怯えながらもいち姫が言いました。

 

 

「うちコロナ対策しているので立入禁止なんで!それじゃあ!」

 

遊んでくれるヤンチャボーイがゾンビにしか見えなくなってしまったいち姫がさっさと追い返していました。

 

それからというもの、とにかく誰かと遊びたいヤンチャボーイは2度とゾンビになることはありませんでした。

 

おわり。